同窓会長ごあいさつ

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会員の皆様におかれましてはますますご健勝でご活躍のこととお慶び申し上げます。

工学部が伊都キャンパスに移転して10年が経ちました。移転当初はいくつかの実験室を講義室として代用し,食堂も仮設,窓を開けると工事の砂埃が机の上に溜まるといった状態で,その当時に学生だった皆様には大変ご苦労をおかけしました。しかし,現在では,卒業式と入学式が行われる3000人収容の椎木講堂,センター1〜3号館,ウエスト1〜4号館,そして数多くの研究施設群が立ち並び,新しい亭亭舎も2015年にオープンしました。2009年からは全学部の1年生が通い,2015年秋には理学部移転が完了して,伊都キャンパスは今や九州大学の中心に相応しい日本有数のキャンパスになりました。

今,大学はこれまでで最も難しい時期を迎えています。年々,経常予算が削減されていく一方で,教育面では大学の国際化の促進が求められ,グローバルリーダーやイノベーター育成が声高に叫ばれています。これに対し,九州大学の工学部ではいくつかの取組みを既に始めています。学士課程国際コース,すなわち英語のみですべての単位を取得して卒業できる留学生向けコースを2010年に開設しました。大学院ではすべての専攻にグローバルコースが設けてあります。九州大学が2017年に4学期制へ移行するのを機に,すべての学科,専攻でカリキュラムを見直し,新しい時代に対応した教育体制を整えていきます。一方,特に意欲のある学生諸君を伸ばす取組みも行っています。工学部独自の短期海外研修プログラムであるELEP(シリコンバレー)とQ2PEC(オーストラリアクイーンズランド大学)を開設し,合計40〜50名の学生諸君を毎年派遣しています。これらのプログラムでは,わずか数週間で学生諸君が見違えるように変身して帰って来ており,この中から日本の将来を背負う人が現れると期待しています。アントレプレナーマインドの向上のための教育にも力を入れるほか,世界中の様々な大学との交換留学や交流も進めていきます。

以上のように,時代の要請に応えて様々な改革を行ってまいりますが,グローバルリーダーやイノベーターといったものは,言葉こそ使われていなかったものの,以前から育成すべき工学系人材像であったことに変りないと思います。同窓生の皆様の中には,世界で活躍されておられる方が大勢おられますし,多くの方が様々な新技術,新製品の開発に携わっておられます。工学における大学教育の肝は,各分野の基礎,すなわち基礎知識と考え方の修得にあります。しっかりとした基礎を身につけることを最重要視しながら,新しい取組みを行っていきたいと考えています。

教育が重要である一方,九州大学が研究面でも世界と伍していかねばならないのは言うまでもありません。近年,教員は様々な仕事に振り回され,研究に没頭できる時間が激減しています。したがって,少しでも省力化できるところは省いて新しい発想が生まれる環境にしていかねばと考えています。幸い,水素関連分野の実績と知名度では九州大学は世界一ですし,紫綬褒章を受賞された國武豊喜先生をはじめとして,化学分野でも非常に活発な研究が行われています。そのほかにも様々な分野で多くの先生方が活躍されています。今後,あらゆる分野で九州大学の名前が出てくるよう,教職員一同,努力していく所存です。

九州大学工学部の発展には,同窓会の皆様の力が欠かせません。伊都キャンパスにお越しいただいたことのない会員の皆様はもとより,そうでない会員の方々も,是非,伊都キャンパスにお越しいただき,一層の温かいご指導,ご鞭撻をいただきますようお願い申し上げます。また,大学の教員ではできない内容の講義,先輩の視点からの学生へのご指導と激励,学生の採用活動のご指導など様々なご支援を賜りますようお願い申し上げますとともに,皆様のますますのご健勝とご発展をお祈り申し上げます。

九州大学工学部同窓会
会長 髙松 洋
(九州大学工学部長)