同窓会長ご挨拶

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九州大学工学部同窓会会員の皆様におかれましてはますますご活躍のこととお喜び申し上げます。2023年4月より前任の園田先生(現九州大学理事)より引き継いで本同窓会会長を拝命いたしました山本元司と申します。

九州大学工学部は九州帝国大学としての1911年の創立時からの歴史となりますのですでに112年目となります。2018年に箱崎地区から伊都地区への移転事業が完了し,現在のこの伊都キャンパスは国内最大規模を誇る素晴らしいキャンパスとなりました。九州大学は「総合知で社会変革を牽引する大学」を目指しており,工学部においても世界最高水準の教育研究を推進して参りたいと考えております。

一方で大学を取り巻く環境は近年,特に激しく変動しております。
信じられない戦争が継続していたり,パンデミックにより世界の人々の生活が大きく制限されたりです。同時に世の中では科学技術が社会の在り方を大きく変化させようとしています。ChatGPTなどのAI技術やDX,IOTなど工学分野の技術がその代表です。このような状況を反映して社会の価値観が大きく変化しつつあると感じます。ダイバーシティーという言葉で表わされる,多様性を認めこれを重視する考え方です。さらに,CO2削減,地球環境,エネルギーや資源,高齢社会,少子化,貧困の問題など工学分野の貢献により解決すべきたくさんの課題があります。

九州大学においても新型コロナウィルスによるパンデミックにより,授業や実験実習の形態などをオンライン中心としたものに大きく変更せざるを得ませんでした。さらに留学生の来日,学生の課外活動や留学プログラムの実施などにも大きな影響がありました。
しかしながら,2023年の現在においてはこのような制限はほとんど解除されパンデミック前とほとんど変わらない活動が行えるようになりました。
今後は学生の皆さんとともに,パンデミック前以上に教育研究活動を活性化していきたいと考えております。

九州大学工学部および工学系大学院では,この激変する社会に対応できる人材を継続して輩出できるよう2021年に学科改組と入試改革をおこない,I群からV群の中括りの,従来の複数学科をまとめたものと,入学時点では専門を決めないVI群による入試制度,および総合型選抜も取り入れた入試制度を開始しました。
また,学部4年間と修士2年間の一貫した教育プログラムを新たに設定し,情報技術を基本とし,技術分野の高度化と様々な変化に対応できる人材を育成する体制を整えています.新制度の最初の入学生が3年生となり,いよいよ各学科での専門科目の授業もスタートすることになります。
九州大学としては2021年11月に文部科学省より認められた「指定国立大学法人」として本格的な評価を受ける時期となっており,様々な改革の成果が求められようとしています。

九大工学部に在籍する学生がこの激動する世の中をたくましく生き抜き,さらに社会の諸問題を解決する人材となるよう,教職員一同努力する所存です。
昨今,産学官連携で教育を行う機会が増えております。九州大学でも頭脳バンクという制度を作り,卒業生の皆様にも大学の教員ではできない内容の講義や,産業界等で活躍されている先輩の視点からの学生へのご指導をしていただけるような仕組みを作っております。
また,学生の採用活動のご指導など様々なご支援を賜りますようお願い申し上げますとともに,皆様のますますのご健勝とご発展をお祈り申し上げます。

九州大学工学部同窓会長
山本 元司
(九州大学工学部長)