工学部長メッセージ

 工学研究院長・工学府長・工学部長
 久枝 良雄

 2020年はパンデミックにより世界が様々に変化する年となりました。九州大学でも、卒業式・入学式がリモートで行われたり、オンライン授業が主流となり対面での実験や実習がなかなか出来なかったりと、学生諸君や教職員の皆さんに大変なご苦労をおかけしています。厄介なことに、このパンデミックの影響は長期化すると思われ、容易にはもとの生活に戻ることは難しいと考えられます。大学も様々な変化をせざるを得ません。オンライン授業の導入などはもともと求められていたことですが、感染症対策として有効であるため急ぎ実現し、ドラスティックな変化が生まれました。我々はこの変化をよりよい大学となるために利用すべきと考えています。

 これはパンデミックの前から計画していたことですが、2021年4月から九州大学工学部および大学院工学府は新しく生まれ変わります。工学部はこれまでの大学科・コース制を改め12学科に改編し、エネルギー科学科を廃止して新たに融合基礎工学科と量子物理工学科を新設します。今回の改編で、今後の工学に必要となる情報教育を強化し、工学のどの分野にも必要な基礎科目を1年次の工学部共通科目とし、工学基礎敎育の充実を図ります。また、入学者選抜の枠組みと方法も多様化します。一般選抜では学部一括入試を取り入れ、更に新たに総合型選抜も実施します。工学部では、一学年に約800名の学生が在籍していますが、その約85%が大学院に進学し、より高いレベルの学問と研究に励んでいます。そこで、大学院も一部改編し、学部から大学院まで見通しを良くし、大学院修士課程と連携した6年一貫型カリキュラムに変更します。また、大学院では他分野科目を必修化し視野を広げます。

 九州大学工学部は、1911年(明治44年)に九州帝国大学工科大学として創立され、日本で有数の長い歴史を有しています。その後、1919年(大正8年)に九州帝国大学工学部、1947年(昭和22年)に九州大学工学部となり現在に至っています。この間、拠点大学の基幹学部として先導的研究と充実した工学教育を行い、これまでに50,000名を超える卒業生を送り出し、工学・技術・産業の発展に貢献してきました。この間、「ものづくり」の中核を担う人材の育成を目的とし、専門分野の基盤となる基礎教育に力を入れてきました。その結果、卒業生が様々な企業で技術開発の中心的役割を果たし、産業界から非常に高い評価を受けています。今後も基礎教育を重視していくことには変わりありませんが、国際的に活躍できる人材の育成は勿論のこと、さらに世界をリードできるクリエイティブな人材、自らの力で新しい分野を切り拓くことのできるアクティブな人材の育成を念頭に置いています。

 その一端として、各学科・専攻独自のカリキュラムのほかに、九州大学の海外拠点の協力の下で工学部生・工学府生向けの学生派遣・研修プログラムやオンライン海外研修プログラムなどを独自に実施しています。直近はパンデミックの影響で外国へ直接行くことは難しい状況ですが、徐々に門戸は開かれつつあります。現在はその準備段階であると位置づけています。また、学生のチャレンジ精神を育み、能力を自ら開発できるような取組みも充実させています。また、学士課程国際コースも設置しており、学部生の時から留学生と交流できる環境を整え、異なる文化や環境への理解を促進させています。これから大学で学ぼうと思っている皆さん、その意欲が十分に活かせる九州大学工学部で一緒に学びましょう。

 一昨年、長年の大事業であった伊都キャンパス移転が完了しました。この伊都キャンパスは世界最先端の設備を完備しており、日本有数の大学施設と言えます。これらの施設を活用し、世界に誇れる教育研究を実施致します。工学部・工学府・工学研究院では研究と教育の両面で努力を続けて参ります。そのためには産業界の方々、行政の皆様、ご父兄、卒業生そして市民の皆様のご理解とご協力が不可欠です。私共の精神に共感いただき、ご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。

 

九州大学大学院工学研究院長・大学院工学府長・工学部長
久枝 良雄