材料工学科[II群]

物質を理解して原料を加工し、開発された材料の性質や機能を解明し、新たなモノ(材料)を創り出す技術者と研究者の入口

材料工学科

これまでの文明の発展は材料の進化に支えられてきました。例えば、自動車社会は鉄鋼材料の大量生産に、航空機による高速輸送はジュラルミンの発明に、情報化社会は半導体の発明に、といった具合です。周期表には118個の元素しか掲載されていないにもかかわらず、これらの元素の無限とも言える組み合わせから、様々な性質をもった材料が創り出されています。単に混ぜ合わせるだけでは無く、加熱、冷却、加工など様々な工程で新たな機能を附加しています。材料工学は、このように身の回りにあるあらゆる「モノ」のもととなる材料や素材を創り出すための基盤となる学問です。

材料工学科材料工学科では、熱力学や速度論に基づいて原料から材料にするための冶金物理化学、デザインした材料をさらに熱処理や塑性加工することによって材料の強さや形を変えるための構造用金属科学、そして材料の機能を高めるための機能材料科学などの知識を学修します。また、実習や実験を数多く行うことで、自ら手を動かして知識を自分のものにすることができます。さらには、先端の材料解析や材料計算などによって未知の新材料を創り出すといった、従来の枠を越えた分野も学ぶことができます。これから変わりゆく時代に柔軟に対応しながらモノ(材料)づくりを通して社会に貢献できるエンジニアや研究者の基礎を築くことができるのが大きな魅力です。

先輩インタビュー

2023年

材料工学科 修士1年

髙木 優朋さん

明善学校(福岡県)出身

Q1 あなたが九州大学工学部および在籍している学科を選んだ理由を教えてください。

実家がある九州の中でも、研究設備が充実しており、専門性の高い技術や知識を身につけることができそうだったため九州大学工学部を選びました。また、私の所属していた学科は物質いくつかの工学に関する分野を履修するカリキュラムでしたが、工学部の中でも文字通り基礎を担う材料を扱うことに魅力を感じました。また、金属材料の破壊プロセスを研究するための実験を見学する機会があったのですが、その実験スケールの大きさやたくさんの実験装置に惹かれ、これらを実際に自分の手で扱ってみたくなったため今の学科を選びました。

Q2 あなたが在籍している学科について、どのような点に魅力を感じていますか?

材料の研究を行うことで、ものづくりを文字通り基礎から支えることができる点に魅力を感じています。例えば私たちが暮らしている社会で広く用いられている道具や建物でも、それに使われている材料そのものの性質を向上させることができれば、安全性などで実現不可能なアイディアも積極的に取り入れることができる可能性があると考えています。より良い材料を追い求めていくことで、安全で機能的な社会はもちろん、エネルギーや地球環境の視点でもより持続可能な社会の実現など、基礎を支えるからこそ多岐にわたる社会貢献ができることが材料工学を学ぶうえでの魅力であると考えています。

Q3 あなたが所属する研究室で行っている研究内容について高校生にわかるように教えてください。

研究を一言で表すと、「材料が変形したり,壊れたりする時に何が起こっているのかを調べる研究」です。例えば学校へと向かう道中でも、車や橋、ビル、あるいは携帯電話など、たくさんの構造物を目にするかと思いますが、それらは全て金属などの多種多様な材料によって構成されています。私たちの生活を円滑に進めるために、これらの材料には「電気を通すか」「熱に耐えられるか」のような様々な性質が求められますが、私の研究室では特に「力を受けた時に材料がどのような挙動を示すか」に着目します。材料が力を受けると、変形したり、あるいは壊れたりするかもしれません。これらの現象は構造物の安全性や機能性に直結しており、大きな建造物にすぐに壊れる材料を用いれば事故の原因になりかねません。そのため、材料が変形し、壊れる過程を研究することで、より安全な材料開発を実現することができ、さらにはエネルギー問題や環境問題などの解決に大きく貢献することができます。私たちの研究室では、多岐にわたるアプローチおよび実験装置を駆使して、材料の力学的性質を研究しています。

Q4 将来の夢を教えてください。

私は卒業した後、金属材料の破壊に関する研究の経験を生かして、より良い材料開発に携わる仕事をしていきたいと考えています。研究を行っていく中で、材料分野に大きな魅力を感じると同時に、実際に自分が所属するチームのアイデアが社会に還元されることを望むようになりました。そのため、大学院では、自分の専攻分野に限らず幅広い分野に興味・関心を向け、実際に見聞きしたことも研究につぎ込めていけるだけの経験を積んでいきたいと考えています。