小澤 翼 (工学部機械航空工学科 航空宇宙工学コース)
留学先:シンガポール国立大学
派遣期間:2019年8月~2020年3月
私は学部3年生の夏から約1年間シンガポール国立大学へ留学していました。学習・私生活がともに充実した最高の時間を過ごせました。今でもCNA(シンガポールの国営メディア)ラジオでシンガポールの渋滞情報を聞くと馴染みある道の名前がたくさん登場し、懐かしい思いが込み上げてきます。
シンガポールでの生活で特別だったことを挙げるとするならば、まず真っ先に思いつくのが友人です。特に人工衛星の授業を一緒に受講し、設計コンペにも出場した現地生の友人は寮が同じだったこともあり、今でもZoomで時々話します。彼とはほぼ毎朝ランニングに一緒に行き、お互いが所属する団体の運営方法など身近なテーマから政治・歴史・人生の価値観についてなど、様々なことを話しました。互いに異なる主張をすることもしばしばでしたが、何か大きな国際ニュースがあるたびに ”What do you think ?” と聞かれ、真っ向から意見が衝突することがあっても、それを是とできる関係は非常に心地よく刺激的であると感じました。また、現地で出会った交換留学生の日本人の中で生涯にわたって付き合いが続くであろう大切な友人に出会えました。留学は普段の環境とは違った属性の人たちと巡り合い、彼ら彼女らと関係を築く絶好の機会だと思います。
また、留学を通して得たスキル(?)について考えると、3つのものが挙げられます。まず一つ目は英語で行うプロジェクトでも「なんとかなる」と思えるようになったことです。私の当初の留学計画ではコロナがなければ現地の人工知能を扱う研究所でインターンをする予定でした。ある日私が送った応募メールへ「明日オフィスに来れるか?」という返事が来て面接に行ったのですが、勉強不足のまま面接に臨むことになり人生で一番脂汗をかいた30分を過ごしました。研究所の開発プロジェクトのマネージャーたちから矢継ぎ早にくる質問に対して冷や汗をかきながら拙い英語で返事を必死に考えました。その後受け入れが決まるもコロナで帰国が決まり、そのインターンには行けませんでしたが面接だけでも良い経験になったと思います。また、先述の人工衛星のコンペではチームリーダーとして出場名簿に自分の名前を記録しました。しかしメンバーたちと会議を開いて話し合いが始まり議論が盛り上がってくると、訛りが入ったスピーディーな英語についていけなくなり基本的にオブザーバーのような立ち位置になってしまうことが多々ありました。これについては最後まで克服することはできませんでしたが、少しでも自分の存在感を出そうと人工衛星についての勉強は捗りました。したがって、コンペへの参加を通して専門性と語学力が向上したことは間違いありません。以上のように、留学を通してなんとかなる(する)力・専門性・語学力の3つが向上したと思います。
現在私は航空宇宙工学科の研究室に所属し、オーストラリアの共同研究先と人工衛星のエンジンの開発に取り組んでいます。そういった事情からミーティングや研究報告も英語で行っています。そうした中で、九大に入学した時と比べると「日本と海外」という境界線が格段にボーダーレスになってきているのを感じます。まだまだ専門性も語学力もひよっこですが、着実に進歩しているとは思います。その中で交換留学が果たした役割はとてつもなく大きいです。少しでも興味のある方は学部生のうちに一度交換留学を経験されることをお勧めします!
笠井 蒼生 (工学部地球環境工学科卒業)
留学先:ルンド大学(スウェーデン)
派遣期間:2019年8月~2022年1月(途中、新型コロナウィルスの影響により一時帰国期間あり)
修士課程では、都市環境システム工学を専攻し、ダブルディグリープログラムを利用してスウェーデンのルンド大学に学位留学しました。ルンド大学では、実際のフィールドを対象としたプロジェクトワークを主に取り組み、豪雨や地下水の解析など幅広い水理学の知識を実践的に学ぶことができました。
学部課程では、イギリスのケンブリッジに短期留学をする機会があり、その際に海外により長期滞在することで、日本を外から見つめてみたいと思うようになりました。学位留学はコロナ禍ではありましたが、多様な国籍・背景を持った先生方や生徒と実際に対面で交流することができ、日本との文化や価値観の違いを直に感じることが出来ました。
留学には自身の価値観を大きくアップデートするチャンスが潜んでいます。言語の壁を乗り越えて、現地でやり遂げた事には多くの達成感を得られるはずです。皆さんの大学生活が実り多きものでありますように。