住宅から都市に至る人間の多様な生活に密着した空間を造り出す建築家や技術者、研究者を養成
建築は使いやすく快適で、美しくて、しかも丈夫でなければなりません。建築学は、技術的問題から社会的・文化的問題にまで及ぶ極めて広い領域にかかわっており、建築・都市の分野に携わる者は、これらの多様な要素を総合的にまとめあげてゆく能力が必要とされます。そして、総合的な技術・知識の理解が要求されるばかりでなく、芸術的な造形能力も求められます。建築学科では、住宅から都市に至る人間の多様な生活に密着した空間をつくり出すために、建築・都市の文化を歴史的に顧みながら、建築・都市を理論的に計画し、具体的な形に設計する方法、快適・健康な環境をつくり出すための環境工学、壊れない建物をつくるための建築構造技術、建築を構成する材料とその施工技術などについて教育・研究を行っています。
本学科のカリキュラムは、建築学に関わる諸知識を体系的・理論的に学ぶための講義科目、具体的なデザイン手法を習得するための設計演習科目、専門的知識を体得するための演習・実験科目などがバランスよく組み込まれ、充実した内容となっています、このような教育を通じて、工学的技術や建築文化についての幅広い教養を修得し、国際社会の第一線で活躍する建築家や技術者、研究者を養成します。
2024年
人間環境学府空気案システム専攻 修士1年
先本 凌 さん
広島大学附属高校(広島県)出身
Q1 あなたが九州大学工学部および在籍している学科を選んだ理由を教えてください。
私は自然が織りなす風景とそこに佇む建築が作り出す環境の調和がとても大好きでした。九州大学はまわりが田畑に囲まれ、糸島には里山の風景がいまだに残っています。私たちが学ぶ建築という学問は机の上で学べるものではありません。実際に素材に触れること、地域のコミュニティーの中に入り活動することを通して学ぶものです。その点において九州大学は本当に恵まれた環境の中で仲間とともに様々な経験をできると思います。
Q2 あなたが在籍している学科について、どのような点に魅力を感じていますか?
主体性をもって自分の好きなことをやり通すことができる点が魅力だと感じます。特に自分の好きなことに共感してくれた仲間とともに大きなプロジェクトや企画をやり抜くことができたときに充実感を感じることができます。
Q3 あなたが所属する研究室名、そこで行っている研究内容について高校生にわかるように教えてください。
研究室(教授)名:建築意匠学研究室(末廣研究室)
研究内容:末廣研究室では、主に竹や木材を構造材として使った、仮設物や小空間のデザインを行い、実際に作ることを通して、地域や社会に新たな空間・環境を作り出しています。竹は軽く、しなやかに曲がるため曲面の構造体なども作ることができます。しかし日本には放置された竹林が多くあり(これらは土砂災害などを誘発する)、建築素材としての竹の有用性が普及していません。私たちは"小さな空間・環境”から竹の織り成す空間の魅力や素材の価値を発信しています。
Q4 将来の夢を教えてください。
私の将来の夢は、建築家になることです。私は建築は自然の営みの中から生まれ、自然に融けていくようなものであるべきだと思います。自然界にあるあらゆるものは朽ちていき分解されていくことを通して循環します。それに対し、昨今の建築は経済的・社会的事情から朽ちる前に取り壊され、建設廃棄物として捨てられます。建築が自然体になること、それは空間が発酵し、長い時間軸の中で人々により愛されるものになることだと感じています。私はそんな建築が少しでも世の中に増えるため自分にできることをやっていきたいと考えています。