船舶海洋工学科[IV群]

造船技術の発展と持続的な海洋開発を担い,海と人類の共生に貢献できる技術者・研究者への扉

船舶海洋工学科国土を海洋に囲まれた我が国の将来の発展には,社会・生活を支えるエネルギー・資源の調達や生産物の供給のための海上輸送,海洋資源開発,食糧生産等の海洋の有効利用が必要になります。

本学科では海洋の有効利用のための技術修得を目的に,工学基礎である構造,流体,熱,材料,制御などの幅広い技術分野を修学するだけでなく,巨大な船や海洋構造物を実際に設計・建造し統合化してゆくための総合工学を身に付けられるように特色あるカリキュラムを編成しています。

船舶海洋工学科カリキュラムの中には,多面的に実物を見るために,造船工場や製鉄所見学,3年次の工場実習を用意しています。また,自ら大型船を設計し,その図面を一通り描き上げる設計演習も組み入れています。一方,船や海洋構造物の計画・設計,生産管理には情報技術の利用が不可欠であることから,プログラミング,数値解析・シミュレーション,コンピュータ支援設計,AI・機械学習に関する教育も取り入れています。

本学科の卒業生への評価は高く,就職時の求人数は卒業生の数を大幅に上回り,学生は各自が希望する輸送機器,重機・重工業の他,多様な業種の企業および研究機関等に就職しています。また,多くの学生が大学院修士課程,博士後期課程に進学して,より高度な勉学と研究に励んでいます。

先輩インタビュー

2024年

工学府船舶海洋工学専攻 修士1年

吉岡 誉顕 さん 

                    

明善高校(福岡県)出身

Q1 あなたが九州大学工学部および在籍している学科を選んだ理由を教えてください。

私がこの学科を選択した理由は、複合的に様々な専門分野を学べること、海洋工学が学べるという2点です。もともと船が好きだったことと、ものづくりに興味があったため船舶工学を学べる大学をいくつか志望していました。そのなかで、独立した部門として船舶海洋工学があること、伊都キャンパス移転によって設備が新しくなっていることから九大を選択しました。

Q2 あなたが在籍している学科について、どのような点に魅力を感じていますか?

国内でも数少ない船舶海洋工学を学べる学科で、体系的に船舶工学を学べることは大きな魅力の一つだと思います。特に学部3年次に1年間をかけて行う船の製図などは他の学科にはない魅力だと言えます。また、総合工学としての側面を持つ分野でもあるので、専門分野の学習の中でも力学的なものから深層学習まで様々な分野を総合的に学べることも魅力です。また、船だけでなく、洋上風力や海洋資源など海洋開発にかかわる分野についても実務者の話を聞いたりする機会もあり、刺激になります。勉強以外の点でも、学科内で様々なイベントなどがあり、学生間のみならず先生方との距離感も近いことも良い点だと感じます。

Q3 あなたが所属する研究室で行っている研究内容について高校生にわかるように教えてください。

研究室(教授)名:船舶海洋流体工学研究室
研究内容:私の研究室では船の推進性能について研究を行っています。船は大きく船体、舵、プロペラの3要素に分けて考えることができ、これらの要素それぞれ、または組み合わせについて、どのような流れが発生しているのか、流れがどのような力を船に及ぼすのかということについて、実験及び理論的に解析を行っています。それらを通して、より抵抗の少ない船体や舵の形状、効率の良いプロペラ、舵や船体に取り付けることで推進性能が向上する付加物といったものの開発や性能検証なども行っています。私はプロペラと舵の周りの水の流れを可視化して、実験的にどのような流れがあるのかを解析するという研究を行っています。水流のある水槽の中にプロペラと舵の模型を配置して、水中に微小粒子を混ぜて横からレーザーを照射します。これを数百マイクロ秒間隔で撮影するPIVという方法を用いることで、舵やプロペラの周りの流れを計測できます。この方法の精度向上に取り組んでいます。

Q4 将来の夢を教えてください。

海は地球の7割を占め、その海の輸送手段としての船は私たちの生活に密接にかかわっています。また、地球環境に与える影響を低減させることなど、社会から海洋工学に対する要請も大きくなっています。その中で、自らが大学の間で得た工学の専門分野を活かして、課題の解決につなげられるようになれればと考えています。