教授のヒトコト

電気情報工学科  鵜林 尚靖 教授

システム情報科学府 情報知能工学部門

鵜林 尚靖 教授

おすすめの本を紹介される鵜林教授

鵜林教授のお部屋はスッキリほっこり居心地が良い空間

2022/02/17更新

学歴や経歴は?

広島大学理学部数学科を卒業し、東京芝浦電気(株)(現在の(株)東芝)に入社しました。そこで、初めて現在の専門であるソフトウェア工学に出会いました。会社では、工場や研究所でエンジニアとして働きました。30代の時に機会があって、東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系に社会人入学し、そこで博士号を取得しました。総合文化研究科というのはあまりご存知ではないかもしれませんが、駒場にある教養学部の大学院です。当時ソフトウェア工学の大先生がおられて、そこで勉強をしました。その後、大学で研究をしたいという気持ちが強くなり、2003年に東芝を退職し、九州工業大学情報工学部(飯塚キャンパス)の助教授に着任しました。2010年に九州大学大学院システム情報科学研究院(工学部電気情報工学科)の教授に着任し、2021年からは副研究院長、電気情報工学科長を拝命しております。

どんな研究をしているの?

ソフトウェア工学を専門としております。ソフトウェア工学とは、分析、設計、プログラミングなどソフトウェアを開発するための手法を研究する学問分野です。直近の10年間において、ソフトウェア工学研究の最先端で大きく進展したのは、プログラムのバグを自動修正する技術や、仕様からプログラムコードを自動生成する技術です。これらはソフトウェア工学における長年の夢でしたが、オープンかつ大量のソフトウェア開発データと機械学習、自然言語処理が結びつき、ある程度の見通しがつきつつあります。私の研究室では現在、人工知能とソフトウェア工学を融合した研究を行なっています。

研究分野を好きになったきっかけは?

東芝に入社し、最初に配属された部署の業務がソフトウェア工学に関するものでした。ですので、ソフトウェア工学をやりたいという気持ちがあって、この分野に進んだわけではありません。そもそも当時はソフトウェア工学という学問自体が存在することすら知りませんでした。しかし、数学よりはコンピュータの方が私の性に合っていたようで、結果としてソフトウェア工学がその後の私の専門となりました。会社では、必ずしもやりたい仕事を出来るとは限りませんが、与えられた仕事を一所懸命やっているうちにやりたい仕事になるような気がします。少なくとも私の場合はそうでした。

教授職のいいところは?

自分がやりたいことを研究テーマにできるところが一番魅力的なことです。好きなことを好きなだけ研究できます。学生と一緒に研究を進められるのも魅力的です。また、学会等を通じて、国内外の研究者と損得勘定なしで交流ができるのは本当に素晴らしいことです。

おすすめの本は?

サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ著)、大好きな鎌倉が舞台になっている吉田秋生さんの「海街ダイアリー」です。

趣味や特技は?

美術館、美術展巡りです。最近ではバンクシー展に行きました。好きな絵画のジャンルは印象派です(多くの日本人と同じです)。岩合光昭さんの世界ネコ歩きを観るのも好きです。

絶対経験しておいた方がいいことは?

若い頃に海外に行った方が良いと思います。私の場合は非常に遅かったので、もっと早く行ければよかったと今でも思います。

福岡でおすすめの飲食店は?

大濠公園の近くにある博多水炊き専門店の橙と、焼き鳥の長次は美味しかったです。確か何年か前にミシュランガイドのビブグルマンにも掲載されましたよ。

他分野で最も興味がある分野は?

文芸、思想、歴史には今も昔も興味があります。ソフトウェア工学は人間を対象とした工学です。工学なので技術的な要素は当然のことながら重要なのですが、人間的な部分も忘れてはいけません。そのためには人文社会科学的なものの見方を大切にする必要があります。これはソフトウェアに限らず、人間を対象とした工学(工学以外の学問分野でも)すべてに言えることだと思います。

〜高校生へのメッセージ〜

高校では色々な科目の勉強をしていると思いますが、授業を聞いていて、「ちょっといいな」「将来やってみようかな」と感じたことを大切にして下さい。