研究室紹介

融体物理化学研究室

工学研究院 材料工学部門

工学府 材料工学専攻

工学部 材料工学科

金属,ガラス,半導体などの無機基盤材料の大半は,素材を製品に精製・加工する過程で高温の溶融状態を経由して製造されています。そのため材料の原点である高温融体(金属,酸化物融体)の扱いが製品の品質や製造コストに直結します。当研究室では,高温融体物性の観点からこれらの基盤材料の製造プロセスを科学し,高い機能性を持つ材料を低エネルギーで創りだすことを目指しています。また,これらの高温プロセス設計の指針を与える溶融金属や酸化物の物理化学的性質(粘度,密度,表面張力,濡れ性など)を高精度に測定し,世界に基礎データを発信しています。特に,日本国内で年間1億トンを超える生産量を誇り,かつ製造業のGDPの約15%を占める金属素材産業では,製精錬プロセスにおいて副生する高温で溶融した酸化物融体は均一な液相ではなく,CaOなどの未溶解精錬剤や晶出した酸化物固体が分散した複雑な流体を形成しています。また,「核のゴミ」とも呼ばれる高レベル放射性廃棄物のガラス溶融固化プロセスにおいても,未溶解の放射性廃棄物やガラスに溶解しきれず相分離した固体の存在は,最終処分場における核のゴミの安全な保管を著しく妨げるものであることが容易に想像できます。近年では,これらの高温多相融体の流動特性評価や交流電場を用いた可視化にもチャレンジしています。

アルミナ基板上での銀の液滴の挙動

所属教員

中島 邦彦 教授 /齊藤 敬高 准教授 /墨田 岳大 助教

主な研究テーマ

  • 溶融酸化物および金属の物性値測定
  • 金属精錬用溶融フラックス,スラグの高温物理化学
  • 高温多相融体の流動特性評価と交流電場を用いた可視化
  • 機械的特性に優れたセラミックスの作製とその接合方法の開発
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